貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第4章 武田信玄
「さ、今日はもう終いな。俺もすることあるからよ」
幸村が座り込んでいた私の手を引っ張り立たせると、私たちは稽古場を後にした
外に出ると、500年後と同じ初夏の心地よい風に吹いて
その風が鍛錬で熱くなった身体を冷やしていく
気持ちいい…
晴れた空に白い雲、緑深く生茂る草木
景色は変わっても、今も昔も季節だけは変わらない
季節外れの春一番のような強い風が辺りにザザァーーーと吹くと
私の結いた髪が風と一緒になびいた
向かいから吹くその風に目を細め、ふっと顔を逸らすと
風で舞い落ちる木の葉の中に見知らぬ人影を見つけた