貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第18章 貴方に出会うそのために
「……『あんたなんか要らない』」
(ええっと、それは……)
頬を両手で包みこまれ、額が重なる。
発した言葉と正反対の感情が、家康さんの瞳に浮かんでいて、心臓の音がうるさくなった。
(っ……わかる、けど……)
私の頬が真っ赤になったのを見届けて、家康さんがにっこり微笑んだ。
「–––…あんたしか、要らないってこと」
(家康さん……)
家康さんの笑顔も、その向こうに広がる空も、きらきら光って眩しいけれど…唇が近づいて、すぐに何にも見えなくなる。
私がここに送られてきたのは、きっと偶然なんかじゃない。
私が信玄様の子孫として生まれたことも、あの日、あの時、あの場所にいたのも……
全ては、貴方に出会うそのためにーーー
そうはっきりと予感して、優しい口づけを受け止めながら…閉じた瞳の向こうに、輝きに満ちた未来が映し出された–––。
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