貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
(……っ!)
その瞬間、私はためらいもせず、走り出すとその腕の中に飛び込んだ。
「迎えに来た。」
背中に回された腕に、優しく力が込められていく。
(夢じゃ……ないよね。)
家康さんの首に腕を回して、何も考えず無我夢中で抱きしめる。
「元気になって……良かった……。」
「うん……。迎えに来るの遅くなって、ごめん」
(……迎え……?)
「……烈を巻き込んで、危ない目に遭わせてごめん。」
「そ、それは……っ、私が勝手に、家康さんを追いかけたから……っ」
何度も謝られて思わず顔を見上げると、胸が熱くなって、家康さんから目を離せなくなる。
見つめ返す家康さんの瞳が、切なげに光った。