貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
(そういえば、初めて家康さんに会ったのは、稽古場の庭だったな……。)
深緑の木々と一緒に揺れる金色の髪。
美しい二色のコントラスト。
それは、まるで映画のワンシーンの様に美しく、私の心はあの時、あの一瞬で家康さんに捕われた。
焦れる想いを掻き消すために、私は部屋を出ると庭へ向かって歩き出す。
今は少しでも家康さんを感じていたい。
縁側から草履をつっかけ、庭に降りると、稽古場へ向かって歩く。
家康さんと出会った、稽古場の横の庭に近づくと、ふ、とひとり庭で佇む人影が目に入った。
その人影に気づいて、歩みを止めるとーーーー