貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
私が安土に戻ることを決めてから数日。
安土に戻る準備は終えているのに、信玄様から出立の日は知らされないままだった。
日に日に募る、家康さんへの想い。
(いつになったら出発するんだろう?)
障子の向こうを見つめ、もどかしさが胸に広がる。
(もしかして……このまま、安土には戻れないんじゃ……?)
こういう時は、いつもなら薙刀の素振りをして胸のモヤモヤを振り払っていた。
でも……今は、そんなことをする気が起こるはずもなく。
ただ、家康さんへの想いに胸を焦がしていた。