貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「信玄様……。私…、安土へ戻りたいです。」
再び耳飾りを握りしめると、私は信玄様を真っ直ぐ見つめて伝えた。
私の決心に応えるように、信玄様が笑みを浮かべて頷く。
「そうか、戻る気になったか。烈なら、そう言うと思ったよ。それじゃあ、早速、安土に戻る準備をするといい。」
くしゃりと私の頭をひと撫でして、信玄様が立ち上がる。
「もうすぐ、迎えも来るだろうからな……。」
「え……?迎え…?」
ボソリとひとこと呟いて、信玄様は鼻歌まじりに廊下を歩いて行ってしまった。