貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第15章 好きだから
「烈ちゃんに呼ばれてここに来たんだけど、結局、何も出来なかったよ。助かったのは、家康の生命力の強さだね。」
(烈が……?)
烈の名前に思わず反応する家康。
それを気づいた乃々が、おもむろに口を開いた。
「烈ちゃんなんだけど……実は…信玄様のところへ戻ってるの……。」
「…な…なんで…?!」
「烈ちゃん……早馬を走らせて私に報せを届けたの。家康が危ないから来てくれって。私が安土に来るのと入れ替わりで、甲斐へ行ったのよ。」
「そんな……信玄が、許すわけないでしょ……」
信玄が寵愛する乃々を簡単に織田に寄越すなど、家康は俄かに信じ難かった。
「……もちろん反対したけど、私も家康のこと心配だったし……。それに怪我の原因が、烈ちゃんを守るためだったでしょ?だから、信玄様も許してくれたの。」
「それなら、乃々だけ寄越せばいい話じゃ?」
「それが……一応、私は織田の人質だから。信長様が、そこは信玄様に筋を通すって……烈ちゃんを甲斐に戻したの。」