貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
「私も……っ……お連れください! まだ、刀は折れておりません…っ」
家康さんの従者が傷だらけの身体を自ら起こし、縋るように申し出ると
信長様はそれを制した。
「抜かせ、阿呆。足手まといはいらんわ」
あまりの言い草にはっとするけれど、信長様は従者のかたわらにしゃがむと、かすかに微笑んだ。
「貴様は寝て待て。早々にそのケガをどうにかしろ。家康が生かしたその命、断じて無駄にするな」
「…………はっ」
(信長様……)
この非常時になってようやく私は、なぜ信長様が恐れられながらも五百年もの間、語り継がれる武将だったのか気付いた。