貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
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「それで–––命からがら生き残り、城へ戻ったというわけか」
光秀さんの冷えた声が広間に響く。
話を聞き終えた時、強く握りこんだ私の拳は、感覚がなくなっていた。
(っ……なんで、こんなことに……)
従者の傷を見れば、壮絶な戦いだったのが容易に分かる。
この時代に来てから、幸村や政宗に稽古をつけてもらってきた。もちろん、私が振るうのは木刀であって、真剣ではない。
だけど……この時代の人たちが振るうのは、木刀なんかじゃなくーー刀だ。
考えたくもない、最悪の事態が私の脳裏を掠める。
息がうまく出来なくなって、鼓動が早くなる。