貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
「そんなに強く握ったら怪我をするぞ。」
(え?)
無自覚に握りしめていた私の手を、光秀さんが掴んで引き寄せる。
手の甲にキスをされ、私は慌てて飛びのいた。
「な、何するんですか…!?」
「気持ちを落ち着かせてやろうと思ってな」
「逆効果です…!」
「それは失礼。怒った顔も可愛いぞ」
「からかうのはいい加減にしてください!」
むっとして眉をつり上げるけれど、光秀さんは気にする様子もなく笑っている。
「では、俺達も行くか。今日は一日、城にいる予定だ。」
何事もなかったように笑いながら、歩き出す光秀さん。
何を考えているのかわからない光秀さんに警戒心を二割増しにし、距離をおいて私はあとをついて行った。
………