貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
「今のどういう意味?」
「…どうもこうも……そのままの意味ですけど……」
「……あんた、一体、何の話ししてるの?」
目も合わせず答える私に、家康さんが苛立つのが分かった。
けれど、私の嫉妬心が素直になることを許さない。
あの時の、家康さんが乃々さんに向けた眼差しが脳裏に浮かぶ。
「………」
「………」
顔を逸らし唇を結ぶと、家康さんもそれ以上、何も言わず黙ったまま歩き出した。
追うように私も再び歩き出す。
その背中に怒りを感じながら。
そのまま私たちは何も言葉を交わさず、御殿へ帰った。