貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第12章 私の知らない時間
「ああ、そうだ。中身のささやかな小さな頭を、お前が悩ますほどのことじゃない」
「っ…人のこと、さらっとバカにしないでください」
「–––ともかく、わかったでしょ」
(あ……)
家康さんにぐいっと肩を引き寄せられ、光秀さんの手が頭から離れる。
「烈は余計な心配しないで、ニヤニヤしてなよ」
「家康さん……」
頷くと、家康さんが肩に置いた手をすっと離した。
家康さんを見上げるうち、不安が和らいで、頬のこわばりが解けていく。
(言い方は冷たいけど、心配しなくていいって言ってくれてるんだよね。他の皆も、私が不安がってたから、気遣って声をかけてくれたんだ……)