貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第10章 孤独感
(こんな時に思い出すのが家族じゃなくて、信玄様や乃々さんだなんて……)
現代にいる本当の家族より躑躅ヶ崎の皆を思い出すなんて、なんて薄情な娘なんだ、と自分で自分を笑う。
(何もしないでいるから、こんな気持ちになるんだ……。何かに打ち込めば、寂しさなんて消えるはず)
ムクリと私は起き上がると打身のあとを触って痛みがないかを確かめる。
(うん。痛くない。これなら弓も引ける。)
どうせ家康さんに会わないなら、弓を少し射つらいバレないだろうと、私は見つからないように御殿の裏手にある稽古場へ向った。