貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第9章 御殿預かり
「お困りのことがありましたら、何でもお申し付けくださいね」
「言っとくけど甘やかす必要ないよ。くれぐれも外に出さないで」
家康さんは女中さんに釘を刺した後、私の風呂敷包みを返した。
「あんたの世話は御殿の女中達に任せてある。御殿から出さえしなければ、あとは好きにしてていい–––それじゃ」
(あ……)
背を向けて、家康さんがスタスタと廊下の奥へ歩き出す。
「あの! これから、よろしくお願いします…!」
「………」
一瞬、足を止めたと思ったら、家康さんは何も言わずに自室に行ってしまった。
(これから一体どうなっちゃうんだろう……)
これから始まる家康さんとの共同生活を思うと、
私は気が重くなった。