貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第9章 御殿預かり
「なに笑ってるの。バカなの?」
「っ……バカではない……と思います」
呆れた顔をすると、家康さんが歩き出す。
私は慌てて、その背中を追いかけた。
いつもと変わらない城下、行き交う大勢の町人と、その人達が発する活気。
家康さんの御殿に向かういつもと同じ道。
いつもと少し違うのは、家康さんが歩く歩幅を私に合わせてくれていること。きっと、これも私の怪我を気遣ってのことだろう。
嬉しいけど……家康さんにとって、私は煩わしい存在なはず。