貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第8章 不穏な動き
「人質という立場を一番、理解できるのは貴様だ。」
これ以上、信長に逆らっても意味のないことは家康もわかっていた。もちろん信長が利害しか考えていないことも。
(人質……という立場か)
苦々しい過去がよみがえり、腹の底でどす黒い感情が渦巻くのを押さえながら、家康は信長の命令を受け入れた。
「……承知しました。」
「なかなかのじゃじゃ馬だが、俺が内通者を見つけるまでの辛抱だ。それまで、上手いこと乗りこなせ」
ただ一人、面白そうに笑う光秀を、家康は恨めしそうに睨んだ。
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