第7章 サヨナラも告げないまま
「あっ……ん、あぁ……」
「……やはりさんは綺麗です……この肌もですが……声も、今のその顔も……」
彼が肌を撫でてくるだけで震えそうになって、体が捩れてくる。普段“綺麗”だなんて滅多に人に言われないし、慣れてないから少し恥ずかしい……
「昴さんだって、すごく綺麗……です、見てるだけでドキドキしてくるもん……」
本当にそうだ。無駄が一切ない彼の立派な身体は、眺めてるだけでもお腹いっぱいになりそう……いや結局眺めてるだけじゃ物足りないのかもしれない。
無性に彼に触れたくて堪らなくて。彼の腕や肩、太い鎖骨を撫でて、厚い胸板に手を伸ばしていく。不意に彼の胸の突起に指が触れて、瞬間的に彼の顔が歪んだのが目に入ってしまい。
その表情がもう一度見たくて……今度はソコをわざと優しく擦ってみる。
「……今日は積極的なんですね」
「なんか……私もしたくって……」
「いいですね……そういうのも嫌いじゃないです」
彼は私の上から横へと転がり、手足を投げ出して仰向けになった。顔だけがこちらを向いていて、やけに挑発的に微笑んでる。“お好きにどうぞ”ってことか。
長い手脚に、筋肉で綺麗な盛り上がりのある身体。嫌でも目に入ってしまった彼の局部は、既に硬さを増し始めてるようで上を向いてて……改めて、大きいと思う。
何処を取っても完璧な肢体に、思わず息を飲む。
「……僕を満足させられますか?」
「満足……してもらえるかは分かりませんけど……」
ほとんど無意識に身体を起こして、彼の薄い唇に吸い寄せられるようにキスをした。もう一度唇を重ねて、舌を差し入れようとすれば、柔らかく口内へ迎え入れられる。
私からキスしてる筈なのに……差し入れた舌は彼の唇に挟まれ、口内へ吸われて引き込まれて……私の髪を梳いてきたその手が、うなじをそろりと撫でてくる。
ふにゃふにゃと力が抜けて蕩けてしまいそうで……結局彼のペースに引きずり込まれてる気がする。
唇を離すと、彼は余裕と色気に満ちた顔で笑いながら私の頬を撫でてきた。
彼の耳にも首すじにも、小さくキスを落として。肩から胸、お腹の筋肉の縁をなぞるように撫でると、綺麗な腹筋が小さく動いた。