第6章 好きの定義とは
その晩は、すごく、満たされた気分というか……幸せな気分だった。
二人でひとつの布団に包まって、頭とか背中を優しく撫でられながら、ずっと零くんとくっついたまま、いつの間にか眠りについていて。
朝になって目が覚めてもそのまま隣に零くんはいて。まずそのことにすごくホッとして。
昨日のあれこれを思い出しながら、零くんのめちゃくちゃ可愛い寝顔を眺めつつ、ニヤニヤしてたら零くんも起きたみたいで。急いで顔を引き締めた。
「……おはよう……」
「おはよう、零くん」
半分しか開いてない眠そうな目もまた可愛いな……とか思ってたら、いきなり強く抱き締められて、腕の中に閉じ込められた。
苦しい。けど……ひとつも嫌じゃない。
しばらくそのままでいたけど……ちょっと長すぎやしないか。
「……零くんは今日仕事でしょ?」
「ああ。でももう少しだけ……」
更にぎゅーっと腕に力が入り、これはさすがに息苦しい。
「朝ごはん、食べる人?」
「食べる。は?」
「食べる」
「じゃ……何か作るよ」
ようやく腕から解放されて。軽く唇を合わせて。新しい朝が始まっていった。
朝からまるで旅館の朝食みたいなものを出されて、私の目は点になりそうだった。しかも食べても美味しいっていう……
身支度を整えた零くんは、綺麗なスーツに身を包んでいて。久しぶりのカチッとしたカッコイイ姿に惚れ惚れしながら……
車で自宅まで送ってもらい、車の中でまたキスをして、別れた。
私、ほんとに彼氏ができたみたいだ。まだ実感が無さすぎるけど……