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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第3章 忘れようと思っても


どうすればいいやら……しばらく無駄に部屋の中をウロウロし、ベッドから少し離れた所のソファに座った。(ちなみにウチはリビングと寝室は別れてない)


「さん?こっちに来ないんですか?」

「へっ?」

「来ないのなら……僕がそちらへ行きま」

「ややや!そこにいてください!」

「……これではあなたの顔を見てお話もできません」

「……う……ん、と……」

「ほら、早く……」


まるで暗示でもかけられたように、意志とは関係無く身体はフラフラと彼の方へ近付いていき、ベッドの横に座り込む。

彼の手が伸びてきて、頬に触れられ、指先が肌の上を滑っていく。触れられた所がどうしようもなく熱い。


「大胆な方だと思えば……男の裸を見ただけで真っ赤になったり……」

「え……っ……」

「変わった人だ……僕を家に上げたのはアナタなのに」

「それは、外で寝るなんて可哀想だと思って……」

「それだけですか?……てっきり僕と、こういうことをしたいんだと思ってましたが」


親指の先が唇に触れてくる。ふに、ふに、と優しく押されて……何も言えず、出来ず、固まってしまう。

次の瞬間、身体を持ち上げられてベッドの上、布団の中へあっという間に引きずり込まれた。


「きゃ……っ……!!!」

「違うんですか?」


……彼となら、万が一にこうなってもいいと思ってはいた。けど実際にそうなってみると思考の整理が追いつかない。

目の前には何も纏わぬ彼の肌、私の心臓はさっきからバクバクうるさいし、何より声が出せない……


「もし嫌なら、早く逃げてください……」


……嫌ではないんだけど、けど。

目線を少し上にあげると、やっぱり目が合う。彼は……微笑んでるけど、下で会った時とは別人のような顔付きだ。熱を孕んだような瞳に吸い込まれそうになって、目が逸らせない。

顎の先を掴まれ、頭ごと彼の方を向かされ。ものすごく近くに顔が迫ってくる……もう、彼の息遣いも分かる距離だ。


「据え膳食わぬは男の恥……と日本では言うんですよね」


……待って、この人日本人じゃないの?たしかにそういう言葉はあるけれども。


「では、頂きましょうか」


あっ、と思った時には唇同士が触れていて。あれこれ考えるのは諦めて、目を閉じた。
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