第14章 二人の選んだ道
翌朝になってもまだ気持ちはフワフワ浮ついたまま……
今日もまずはFBI本部に顔を出す。
私の少し後にやってきたジェイムズさんと朝の挨拶を交わすなり、休暇を打診した。
と……更に少し遅れてやってきた秀一さんがそこに割り込んでくる。
「俺もそろそろ日本に行こうと思っていた所だ……と合わせて休暇を取っても構わんか?」
「っ!?」
「構わんよ。クリスマス休暇を皆に取らせる順番をちょうど思案していた所だからね」
「それなら……ココからココを、俺達はもらおうか」
秀一さんはカレンダーを一枚捲り、日付の部分をスーっと指でなぞる。十二月の第二~三週あたり。
うん、日にちに問題は無い。
「そこなら誰も文句は言わないだろう。おそらく皆が休みたいのはクリスマスか新年だからね」
「だろうな。ではそれで調整を頼む。、チケットを事務員に手配させるがホテルは必要か?」
「いえ?要らないです」
「よし、では……三十分後に下に降りてこい。今日はフィラだったな」
「はい!」
仕事に出る準備を進める。今日行く所の地図をプリントアウトして……
待てよ……?さっきは流れに乗って返事をしたけど、もしかして私って来月秀一さんと同じ便で日本に帰ることになった……?
まあ、寝てればいいか……
比較的治安が悪いと言われる地域を中心に訪ね、例の能力を使い、遺体が見えれば地元警察に情報を提供、何も無ければ時間いっぱいまで作業を続ける……これが今の私の日常。
ただ、重大な事件が起きて秀一さん達が出払ってる日は、私の出番はなし、つまり休みで。
でもただ休んでるのもバツが悪いから、そういう時は専ら犯罪心理学の分野の専門書を読んで過ごす。
昔は“犯罪者の心理なんて知ったこっちゃない”と思ってたけど、今は少し考え方も変わった。
少しでも犯罪の真相解明の役に立てるかもしれないし……もしかしたら零くんの力にもなれるかも、って思いもあったりして……
そんな感じでこの一年程を過ごしてきた。
もうすぐ久しぶりに零くんに会える訳だけど、私はちょっとは人間的に成長できてるんだろうか……
それに「太った……?」とか言われないように(実際そう思っても彼は言わなさそうだけど)毎晩ストレッチしよう。髪も念入りにトリートメントして、お肌のパックだって毎日しよう。