第14章 二人の選んだ道
そして秀一さんとは……まあ、大丈夫だ。
私一人で仕事するのは何かと大変だろうからって、毎回ジェイムズさんの部下の誰かと一緒に行動させられてるのだけど……秀一さんと一緒に動く頻度が一番高い。
ちなみに今日一緒なのも秀一さんだ。
実の所、彼と仕事するのが一番やりやすい。日本語が完全に通じる上に何でも言いやすいっていうのもあるけど、私が疲れてきてるのも言わなくたって分かってくれるし……
ただ、困ることもある。
「降谷くんは元気にしているのか」
「知りませんて……」
「彼に飽きたらいつでも俺が相手してやる」
「冗談はやめてください……」
「俺は冗談なんて言っていない」
こういうやり取りがたまにあるからだ。まあ、彼も口で言ってくるだけで、本当にそれだけ。
仕事のパートナーとしては、文句ないんだけど……仕事以外では絶対二人きりにならないようにしてる。
一年前は色々悩んだけど、思い切ってアメリカに来て良かった。
英会話も日常生活には困らない程度まで上達したし(要らない警察用語まで覚えてしまったけど)、なんと言ってもこの一年弱で命を救えた人の数が二十を超えた。
平均したら月に二人は救えた事になる。怪我人まで含めたらもっと多い数になるだろう。
やり甲斐はたしかにある。色んな人に自分の存在を認めてもらえたり、感謝されることも多い。
元々一人で過ごすのには慣れてたし、知らない街に一人っていう環境も、そんなに苦では無い。
でも……ふとした時にやっぱり寂しくなる。零くんに会いたくなったり、声だけでもいいから聞きたかったり……水野先生は大丈夫かな……とか。
ちなみに零くんは、潜入先で上手く立ち回り、着々と犯罪集団の中で地位を確立していってるみたい。さすがだと思うけど、心配な気持ちも絶えない。
“は何も心配しなくていい”って言われても……恋人が犯罪集団の中にスパイとして潜り込むなんて心配なのが普通だ。
今頃何してるかな……