第13章 決断のその先
ついウトウトしてきた私を、零くんは先日の約束を覚えてたんだろう、ちゃんと起こしてくれた。
一緒にお風呂に入る。湯船に二人で浸かって、後ろから腕が回ってきて。その腕に自分の腕を絡めて、零くんに寄り掛かる。
まったり、穏やかな時間が過ぎていく。
「あのさ、零くん……」
「なんだ?」
「実は……零くんと付き合い出した頃から何回か思ってたんだけどね……もし零くんがまた潜入捜査みたいな事をする時が来たら、私は、切り捨てられるんじゃないかなーって」
「そうなのか……?」
「でもそうじゃなかったね……良かった」
「それは……なんて言ったらいいか……そもそもじゃなかったら付き合おうとも思わなかっただろうけど、がいたから、僕も普通に幸せを望んでもいいんだよな、って考えられるようになったっていうか……」
「そうなの……?幸せになりたいって、誰もが思うことなのに……」
「僕はよく言う愛だの恋だのには無縁だと思ってたからな……むしろ仕事の邪魔だと思ってたくらい」
「ああ……零くんって……たしかにあの分析の結果的にはそういうタイプだよね」
「だろ?でも、となら一緒にやっていけるかも、一緒に幸せになりたいって、思うようになって……実際今こうやってといるのはすごく心地いいし……この時間は僕にとって仕事以上に重要だ」
「そっか……」
大真面目にそういう事を言われると、照れてしまう。どんな顔をすればいいのか戸惑うけど、幸い今は顔を見られることはない。
首元に顔を埋められて、柔らかく抱き締められる。
私も、こんな時間がすっごく好き。ずーっと、このままでいられたらいいのにって思うけど……
「それで……さっきの話だ。は、この先どうしたい……?」