【ヒプマイ】よふかしのうた : R18 : 短編集
第6章 ※お願いだから触れて欲しい 乱数
乱数は一瞬驚いたのか体をピクつかせたけど、すぐに薄く唇を開いて私の舌を迎え入れる。ねっとりと表面を舐め取られ、さらに深く唇を重ねる。そしてその隙に、私は口に含んでいた媚薬を舌で乱数の口の中に押し込んだ。
「…んっ、か、ごほっ!けほっ…え、何これぇ?飲み込んじゃったんだけど!?」
「ねぇ乱数…私たち付き合ってもう半年だよ?そろそろ触って欲しいし、触りたいの」
体を下にずらし、少し大きくなったモノに指を這わせれば辛そうに眉を寄せる乱数。即効性のある薬を使ったおかげか、頬が紅潮し息遣いも荒くなってきたように感じる。ジジ…とファスナーを下そうと手をかけると、ガッと勢いよく手を掴まれる。
「だ…駄目…っ!」
「どうして?…私と、エッチしたくない?」
「したくないわけないだろ…っ、でも、駄目なんだってば…!」
頑なにファスナーをおろすことを拒まれる。そうか、そんなに拒否したくなるほど私に魅力がないのか。薬まで使ったのに全く相手にされないことに、ボロボロと勢いよく涙が溢れた。それを見てギョッとして表情を浮かべる乱数。
「な、何で、泣いてるのさ!?」
「だ、だって…こ、ここまで、してるのに…っ、してくれないってことは、そ、そういうことでしょ…!?私に、魅力を感じないってことでしょ…!?」
目元を手でこすりながら、ひくひくと喉を引き攣らせて泣きじゃくる。私って、なんて惨めなんだろう。薬を使っても、恋人を誘惑することすらできないなんて。
「…っ、ああもう!!違う…違うんだよ…!!」
乱数に勢いよく抱きしめられる。その体は燃えるように熱かった。驚いて顔から手を離すと、その一瞬の隙に唇を少し乱暴に重ねられる。じゅっ、じゅるっと水音が鳴り、激しく舌を吸われ、絡み合う。息を吐く暇もないそれに、意識が遠のきそうになった瞬間、ようやく唇が離れた。
「…絶対に、引かないって約束してくれる?」
「引…く…?」
「僕のこれを見せたら、に嫌われるんじゃないかなって怖くて…さ」
ポーっとした脳みそのまま乱数のことを見つめていると、ジーッとファスナーが下りる音がする。その方向に目を向けて、一気に頭が覚醒した。