第2章 月本光政 WORST
「まだ、怒ってる?」
「……」
屋上を後にして、鈴音の家に来るがオレは、口を開かずリビングのソファに腰を掛けた。
「…ねぇ、光政?」
「……」
オレの前でしゃがみ込みながら、顔をのぞき込んでくる。
「ごめんね?光政…」
その顔、やめろって…
オレが弱いことを……
「…早く作れよ」
「わかった!」
やっとオレが、目線を合わせると嬉しそうに笑いながらキッチンに走っていった。
惚れた弱みって言うのはこういう事かと思った。
鼻歌を歌いながら楽しそうにチョコを作る鈴音。
その姿を見てると、さっきまでの怒りがどっかに消えていく。
「…やっぱり、にがっ!」
「なにが?」
待ちきれなくなったオレは、鈴音の居るキッチンに立っていた。
「ほら、光政って甘いの苦手でしょ?だからビターで作ってたんだけど…私には苦いわ。さっきは食べたけど…」
「鈴音が甘党だからだろ?」
そう言いながら鈴音の指に付いたチョコを舐めた。
「……っ!」
一気に顔を赤くする鈴音。からかうと直ぐに顔を赤くする。
「なんか、したか?」
「光政…エロいよ」
「エロくねーよ。普通だろ」
「いや、エロいよ!」
「エロは、これだろ…」
そう言いながらオレは、鈴音の唇を奪った。
舌を絡めようとすると、少し戸惑いながらオレの舌に答えようと動かす。
…ヤバいな。
キスをしながら鈴音を抱きしめた。
そっと唇を離した。真っ赤な顔をする鈴音を更に真っ赤顔が見たくて……
「…チョコより先に鈴音が食べたい」
鈴音を抱きかかえ寝室に向かい、ゆっくりとベットに寝かせた。
「来年もその次も他の奴にチョコ渡すなよ」
「…わかった!光政も、だからね。でもね、拗ねた光政も可愛かった」
「うるせー」
そう言いながら鈴音にキスを落とした。
甘い甘いバレンタインキス…。