【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第8章 距離
手に入れては失って、手に入れては失って、人生なんてそれの繰り返しだ。兵団に入ってからに限る話じゃない。昔からそうだった。
「リヴァイ、アリスの様子はどうだ?」
執務室、奥の席からそう問いかけてくるのはこの兵団の主であるエルヴィン。
「ああ、まあ問題ねぇよ。命令違反は相変わらずだが、ある程度制御は効くようになった。前回の壁外調査みてぇな事態にはもうならねぇだろうな」
「あ、そういえば刺された怪我、もう治ったの?」
向かいのソファに座すのはハンジ。
「問題ない。もともと大きな怪我でもなかったしな。この調子で治れば傷跡も残らないそうだ」
目の前に出された紅茶を啜りながらアリスと初めて話した日のことを思い出した。
思えばもう一ヶ月も前の話か。
「アリスだいぶ丸くなったけど、まだエルヴィンのこと恨んでんのかな〜」
「この間食堂で見かけたときは、思い切り睨まれて舌打ちまでかまされたな」
「ガッツリ恨まれてるね。というか、威嚇の仕方が機嫌悪い時のリヴァイそっくりだね」
まあ、これに関してはすぐにどうこうできる問題でもないだろう。時間が必要としか言えない。