【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第7章 知らない感情
2週間絶対安静、命令されてしまえばそれに背く手段がないのが兵士の悲しき性というものだ。
……ただの兵士ならば。
「……42……43、、、44っ………」
筋トレくらい構わないだろう。じっとしているのは性に合わない。右腕は極力動かさないように気をつければ回復にも支障は出ないだろうし。
「……おい、クソチビ、そんなに動きてぇなら左手動かせ。そのアホみてぇに溜まった書類はなんだ」
「兵長が療養中の部下に仕事を押し付けたパワハラの物証です」
「その右腕反対にへし折って欲しいか」
私に利き手はない。文字を教わったあの常連さんが利き手はつけないほうが身の為だと教えてくれた。片腕が使い物にならなくなっても戦えるようにと。もともと自分の利き腕なんて認識できず生きていたため都合も良かった。
「……お前、今日体の調子はいいか」
「え、…まあ、はい。貧血と右腕の損傷以外はもともと元気ですので」
壁外調査後は怪我の合併症として精神的な高熱なんかに悩まされる兵士も多いらしいが、私には関係のない話だ。あいにくそこまで繊細ではなかった。
「夕方頃に迎えに来る。少し出る用意をしておけ」
「は………?」
相変わらず読み取りにくい表情で、兵長はそう言った。