【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第1章 Prorogue
「……そんなツラもできんだな」
「え……」
「処罰はいい。こんなくだらねぇことで兵士を無駄にしてるほどの余裕は今の兵団にはねぇんだ。とっとと出ろ。明日から通常通り訓練に励め」
こいつの戦績を確認したときから決めていた。エルヴィンを殺そうとしたことは重罪だが、こいつという人材を放っておけないのもまた事実、というのが殺されかけた当の本人であるエルヴィンの見解だ。俺は従うほかない。
「……私は明日から、どうすればいいでしょうか」
こいつの班は"もう存在しない"。先日の壁外調査でこいつ以外は全滅したと報告を受けている。もしかするとこいつがエルヴィンを狙った理由もその辺りにあるのかもしれないが、まあどうでもいい。使えるコマは使うだけだ。
「お前は俺の班所属だ」
手枷と足枷を外してやり、立ち上がらせる。俺も大柄な方ではないが、少女もまた思っていた以上に小柄だった。
「え………」
「殺人は未遂とはいえ、エルヴィンに怪我を負わせた兵士を野放しになんてできねぇだろ、監視の意味もある。これもエルヴィンの判断だ。黙って従え」
思えば本当に奇妙な出会いだった。
「……人類最強の兵士長様に監視されるなんて、犯罪者冥利に尽きますね」
「あ?調子にのるんじゃねぇぞクソ野郎。俺が監視役ってことはお前の命は俺の機嫌次第だってことを肝に銘じとけ。俺はエルヴィンほど甘くはねぇぞ」
「ええ、肝に銘じておきます。よろしくお願いしますね、リヴァイ兵士長」