【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第33章 ▼幸せの行く先▼
「まあこんな時こそ、普段通りいきましょう。紅茶でも淹れます」
昨日と打って変わり落ち着いた様子でティーセットを用意し始めるアリス。
「ああ、頼む」
シャツのボタンを閉め、ソファーに腰掛ける。
「……身体、大丈夫か」
昨日のことだけじゃない、怪我も含めて。
「まあ万全とは言えませんが、十二分には戦えます」
「十二分には戦えんのか」
こいつのことだ。強がり半分、いや、8割だというのはわかっているが軽口叩ける元気はあるようだ、大丈夫だろう。
「……………」
その後はなにをするでもなく、ただ夕方までの時を自堕落に過ごしていた。
紅茶を飲み、菓子をつまみ、ソファーでくつろぎ、やりかけの書類を片付ける。
時折何気ない会話を交わしたり。
ハンジが訪ねてきたり、エルヴィンが訪ねてきたり。
アリスもそんな俺の隣で、同様に過ごした。
「……なんだか、あっという間ですね」
そうしていると、なにもしていないのに案外時間はあっさりと過ぎ、そろそろ部屋を出る時間。
「……そうだな」
俺は外套を羽織り、アリスも同じように羽織る。
「次に戻ってくるのは、早くて3日、といったところでしょうか」
アリスが口を開く。
「まあ実際作戦がそううまくいくとも限らねぇ。1週間程度といったとこだろう。チッ……埃がたまらなきゃいいが」
「ふふっ……いつも通りですね、兵長」
アリスが笑う。
「……お前もな、」
扉に手をかける。
「…じゃあしばらく……行ってきます、です」
「……行ってくる」
誰に言うでもなく、部屋に向かってそうこぼす。
必ず2人で、生きて戻る。そう胸に深く誓って。