【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第33章 ▼幸せの行く先▼
先ほどまでうるさった食堂は、一変して静か。物音ひとつしない空間と化していた。
私はそっと、隅の床に座り込んで酒を飲む兵長の近くへと歩みを進めた。
「………へいちょ………んっ……!?」
話しかけようとすると、ぐっと口を押さえられしーっと人差し指を立てられた。
「だからまずは海を見に行こうよ!!地平線まですべて塩水!!そこにしか住めない魚もいるんだ!!」
外から聞こえてきたのは、
「エレンはまだ疑っているんだろ!?絶対あるんだから!!見てろよ!!」
「……しょうがねぇ、そりゃ実際見るしかねぇな」
「約束だからね!?絶対だよ!?」
「……また2人しかわからない話してる」
エレンとミカサと、アルミンか……。
聞こえてくる3人の会話を盗み聞きしていることへの申し訳なさ半分と、好奇心半分。結局3人がどこかへ行ってしまうまで聞いてしまった。
「………、あの3人、幼馴染なんですね」
3人の姿が見えなくなるのを見届け、私はつぶやく。
「ああ、らしいな」
再び酒を流し込む兵長。
そういった存在とは無縁だったから、少し、羨ましい。
「彼らも、"うみ"、みたいんですね」
『海に行きたい』
私はかつての部下の願いを思い出す。
『アリスさん……!!』