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【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】

第31章 生まれた日と愛


「完!!治!!」

「うるせぇ」

「ぞんざい………」

正確には完治ではないが、あれから数日。
やっとの事でまともに動けるようになり、爪も少しだけ伸びてきた。まあ見た目はグロいので包帯まみれに変わりはないが。
それでも、手も足も動く。頭も回る。目も片方だが見える。まだ、戦える。

「……ウォールマリア奪還、ですか」

王都から兵舎に戻り、医務室での療養生活もようやく終わる。片付けもひと段落ついたところで、現実味のないそんな言葉を口にする。

「ああ、そうだな」

世の中の情勢どころか、自分が生きることにも興味がなかったため、壁が破壊されたあの日の出来事を私はよく知らない。ある日突然日常が破壊された人たちの悲しみを、私はよく知らない。だって生まれた時からどん底だったから。ずっとどん底だった私にとって巨人が攻めてこようが天敵が現れようがそれより下はないのだ。
そこにあるのは変わらない血にまみれた日々。

だけど、

「……まだまだ長い道のりの、第0歩、ですけど……」

夢見てしまったから。
上をむいてしまったから。

"しあわせ"を、願ってしまったから。

「足りねぇ頭で難しく考えるんじゃねぇよ」

「あでっ………、」

軽く小突かれ頭を押さえる。

しかし夢を見るのもいいが、私はやっぱり、この日常も大好きだ。
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