【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第30章 再会
「……痛かっただろ、」
優しく頭を撫でられて仕舞えば、押さえ込んでいた感情は溢れてしまう。
「………はい」
一度溢れ出てくるのものを、もう抑えることはできない。
「……痛かったです……怖かったです、」
拷問中にそれを肯定して仕舞えば、頭がおかしくなりそうだったから。
ずっとずっと、気持ちを遠くにして、隠してた感情。
「よく耐えた」
「ぅうっ……………」
あふれる涙を拭われる、その暖かい手。
「……せっかく、ごまかしてたのに……台無しじゃ、ないですか……」
兵長の背中に手をまわすと、優しく抱きしめ返してくれる。
「エルヴィンは気づいてたがな。……ったく、見え見えのやせ我慢しやがって……」
「女の子の、我慢を………そんな風に言うもんじゃっ……ないですよ、……嫌われますよっ………」
「泣きながら毒吐くんじゃねぇよ……、それに別に嫌われてもかまわねぇよ。お前に好かれてりゃな」
なんだか前にもこんなこと、あったような気がする。怪我をした私がベッドで泣きながら、兵長に抱きつく。なんだかこれがもう、そういう立ち位置として固定されつつある。
しばらく泣き続け、兵長が次に口を開いたときには、
「なあ、アリス、お前…………」
私はとうに夢の中だった。
「……チッ、毎度毎度ペース狂わせやがって……」
そっとベッドに戻してやり、
「……てめぇにはそうやって、幸せそうなツラして寝てて欲しいんだがな」
叶わぬ祈りを呟く。