【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第27章 ▼鎖▼
「……あの時のこと、今どうこう言ってもしょうがない」
「…………」
大事なのは過去じゃない、未来だ。
「頑張ってきて、実験。また兵長にどやされたら、幾らでも愚痴りにくるといーよ」
気づいたときにはわけのわからない力を持ってて、頼られ、失敗は許されない崖っぷちに立たされて。皆は彼を恐れるけど、違う。
私にはこの子が可愛そうに見える。
「………!はい!ありがとうございます!」
「おいエレン、いつまで駄弁ってる。さっさとしろ」
「痛っ……、す、すみません!!」
兵長に蹴り飛ばされ、いそいそと私に頭を下げ走っていくエレン。
「ほどほどにしたげてくださいね、兵長」
「これから死地へ向かう、てメェの男への見送りの言葉はそれか?」
死地とは、今回の場合些か大げさな気もするが。
「………いえ、」
いや、大げさなんてことはないか。……私たち兵士の命に、絶対などないのだから。
「……いってらっしゃい、です。死なないでくださいね」
飾った言葉なんていらない、言葉を選んでなんていられない。それだけ伝えれば、充分だから。
「……ああ、お前もな」