【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第20章 夜会
広いダンスホールの中。いくつも置かれた丸いテーブルには見たこともないような立派な食事がたくさん並んでいる。そんな景色を横目に見つつ、私はエルヴィン団長とミケ分隊長に連れられ挨拶回りをしていた。
「調査兵団団長、エルヴィン・スミスです」
兵長とハンジさんとは別行動中で、出発も別だったためまだドレスは披露できていない。会場内にはいるはずだが、いくら見渡しても姿は見えない。……どころか会場が広すぎる上に人も多く、全く見渡せない状態だった。
「おお、随分と久しいじゃないかエルヴィン。珍しいな、君が夜会に参加するとは」
「ええ、実は紹介したいものがおりまして、」
慣れないヒールの靴のせいで踵が痛く、まとめられた髪のせいで首元はスースーと心地が悪い。
ぼーっと人混みを見つめているとミケ分隊長に背中を突かれあわてて姿勢を正す。
「以前お話いたしました我が調査兵団の期待の新星、アリスです」
期待の新星とは、随分と大きく出られたものだ。
「アリスと申します」
紹介を受け、ハンジさんから教わったお辞儀、腰を下げ、スカートを摘み頭をさげる。これの繰り返し。
はぁあ……もう少し自由なものを期待していたが、そうもいかないようだった。