【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第15章 ▼痛み▼
「死にたがりのビスクドールとはよく言ったものだ。こうして傷だらけで眠っている姿はまさにその異名そのままだな」
あの壁外調査から帰還し、翌日の昼。仲間を失った喪失感も、愛する人が目を覚まさぬ痛みも、何もかもが癒えぬまま、俺はアリスの青白い顔を見つめていた。
「癒えていない古い傷も随分とあるな……、訓練の時か?アリスの負傷届けは出ていなかったはずだが……」
「……そいつのソレは昔かららしい。以前、シアルから聞いたことがある」
ベッドを挟み向かいの椅子に座るエルヴィンを横目で見ながら、俺はあの日を思い出す。
『リヴァイ兵長、前回の壁外調査の報告書です』
『ああ。随分と多いな………って、またこいつか……』
『はい……。命令違反に独断専行、負傷届けの詐称……その他もろもろ……。すみません本当に、何度も言っているのですが……』
『お前んとこの、あの包帯だらけのチビか。前に俺にガン付けてきやがったからな、よく覚えている。……あ?負傷届けの詐称だと?』
『そうなんですよ。どんな大きな怪我も隠しちゃうんです。医務室に行くのも妙に嫌がる子でして……』
『……ガキかよ』
『まあまだ15なので子供は子供ですよ。……でもあの子は、俺がここに連れてきちゃったようなもんなんで責任もって守らないといけないのに、俺が守られてばっかりで。……だからどうか責めないでやってください。あの子の怪我が減らないのは俺にも責任があるので』