【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第14章 喪失
私は今、全力で機嫌が悪い。
ワイヤーをはちきれそうな勢いで木に結びつける。
「……アリスの機嫌が死ぬほど悪い」
「分隊長、あんたまた風呂でも覗いたんですか……」
周りの声も聞こえないほど頭に血が上っていた。
「いやいや、今回は私じゃないよモブリット。原因はあっち」
「あっち……?……ああ、なるほど、」
どうしてだ、どうしてこうなった。
「アリス、そのワイヤーはこっちへまわしてくれ」
私の隣に立つこの男は憎き悪魔、調査兵団団長エルヴィン・スミス。なんでもないような涼しい顔をして命令してくる様に腹が立つが、仕方なく舌打ちをする程度にとどめる。
「…………、」
団長に言われるがまま、森の中に罠を張っていく。
「わー無視してる。少女に無視られ全く動揺しないおっさんっていうこの絵面。……エルヴィンもエルヴィンで面白いねぇ」
「分隊長聞こえますよ……」
どうしてこんなことになったんだと、話は作戦決行前夜に遡る。