第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
「にーのぉ…」
「わっ…びっくりしたぁっ…」
忘年会の後片付けをしていたら、ソファの後ろから、マリオのきのこみたいにカズヤが生えてきた。
その後ろには、カズヤの作った木の絵が描いてあるホワイトボードがある。
頭には、なぜか相葉さんの青いぱんつを被って。
サバンナの中に生えた、1UPだ…
「あれ?翔ちゃんは?」
「…知らない…なんか俺の隣で寝てた…」
「あら…寝かしつけに行って、自分が寝ちゃったか…」
まあ、ずいぶん戻ってこないからそうなんだろうなとは思ってたけど。
「翔ちゃん、仕事が本当に年末でキツキツだったから、疲れちゃったんだろうね」
「うん…」
「あれ?カズヤ起きちゃったの?」
キッチンから相葉さんが戻ってきて、ちょっと体を竦めた。
「もう脱がすなよ!?」
「わかってるよ…うう…頭いたぁい…」
「あら…もう二日酔い…?ちょっと待ってろ。今、水と薬持ってくるから…」
「うん。お願いね、相葉さん…」
相葉さんを見送ると、カズヤは小さな声で囁いた。
「ねえ…にーの。ママからのプレゼント…渡しそびれた…」
「ああ…だったら、朝にでもみんなの枕元に置いておきなよ」
「え?」
「ツリーがないからしょうがないじゃん…靴下もないけどね」
「…ずいぶんのんびりやのサンタクロースだなあ…」
「ふふ…後でちゃんと、ママさんからって説明しておきなね?」
「うんっわかった!」
勢いよく立ち上がったカズヤは、すぐにソファの後ろに消えていった。
「…カズヤ…?」
座面に載って、背もたれの後ろを覗き込んだら、頭を押さえて撃沈してた。
「…お大事に…」
ふと顔を上げたら、リビングのドアから翔ちゃんがこっちを見てた。
「…一人にすんなよぉ…」
「あら…起きたの?」
「ニノ…一緒に寝よう」
「まだ片付けあるんだよ…」
そう言ってたら、キッチンから相葉さんが戻ってきた。
「さー!カズヤ!お薬だよ!あれ?どこいった?」
「…お薬苦いからやだ…」
ソファの陰から、四つん這いで逃げ出した。
「飲みなさい!飲まないともっと痛くなるんだから!」
「やーだぁ…にーの助けてぇ~…」
もお…
騒がしいんだから。
でも…すべてが…
愛おしくて…
そしてかけがえのない、時間