第10章 飴を溶かす【伊黒小芭内】
笑う、小芭内にそのまま口付けられ…限界を迎える。
『んんぅ…ッ!…は…だめぇ…、もう…っ…!!』
震える脚を抱えた小芭内が僅かに顔を歪めた。
「…っ、このまま出すぞ…、紗英…ッ」
『は…ぁ、あ…っ、ください…ッ!…膣内(なか)にッ、出してくださいっ…!』
告げた瞬間、真っ白になる頭…脚先まで甘い痺れが伝う。
小さく声を漏らし、小芭内が私の中で精を吐き出した…。それを最後の一滴まで絞りとり中へ誘い込むように、締め付けてしまう。
「…紗英……、お前は俺のものだ。」
『…はい…。』
ぎゅう…と抱き締められれば…今まで感じた事のない安堵感に包まれる。
「……言い忘れていたが…」
『はい…?』
「……好きだ。」
小芭内と睦言を交わすなんて、想像できなかったのに。
でも、互いの肌に触れ心地良い体温に包まれて…こんなに、愛おしいものだなんて…知らなかった。
『…私も、小芭内が好きです…。』
「…当然だ。俺以外にお前の相手が務まるわけないだろう。」
小さく笑い、小芭内の頬を取り…ゆっくりと口付けた。
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「よう!!安積!嫁に来る決心はついたか?」
またしても宇髄さんに絡まれるいつもの日常。
『致しません。』
「まあそう、毎度即答すんなよ。」
宇随さんの手が私の肩に伸びてくる。
「安積に触るな。宇随。」
宇髄さんの手を止める小芭内。
「なんだよ、お前のもんじゃねえだろ?」
「安積は俺のだ。気安く触るな。」
小芭内の言葉に目を丸くする宇随さんと、私。
宇髄さんはニヤリと笑い、へえ…と呟いた。
「安積、伊黒に愛想が尽きたら俺のとこに来いよ」
小芭内の隙をついて、ちゅ…っと頬に口付けられる。
「!!おい!、宇髄…っ、貴様!」
…さすが元忍、風の如く消え去った。
「……安積…。」
怒ってる。これは大変怒っていらっしゃる。口の中でカラっと飴を転がす。
『…不可抗力でした。』
「…他の男に触らせた罪、…今夜、償ってもらうぞ」
耳打ちされ、ゾクっと背筋に甘い快感が走る。
『……はい…。』
私は、ガリ…っと、音を立て飴を噛み砕いた。