第62章 同意(一方通行)
打ち止めを例のカエル顔の医者に任せて、私たちはふたりで家に戻る。
一方通行は未だに手を離してこないところを見ると、彼は私の今の気持ちを理解してくれてるんだと思う。
「…いっぱい怪我しちゃったね」
「俺は平気だ」
平気、という彼だがよく見れば顔やら手にも傷がいっぱいあって。
「…消毒させてね?」
「…好きにしろ」
それを返事と受け取って、ソファにそのまま腰掛けて。救急箱、と思い手を離そうとしたら何故か手を離して貰えなかった。
「…救急箱取りに行きたいの」
「…はぁ。ったく、」
怠そうにしながらも手を繋いだまま、寝室にある救急箱を取りに行ってベッドに腰掛けた。
ここが家でよかった。救急箱取りに行くのさえも惜しいのか、彼は手を繋いだまま救急箱を取りに行ってすこし恥ずかしかった。
どれだけ離れたくないんだろうね、わたしたち。
「…滲みる?」
「…いや」
消毒する時すら、離してもらえなくて。仕方ないから私の片手と一方通行の片手で、なんとか消毒液やらガーゼやら準備して。向かいあわせで座る彼に消毒をしているのだけれど。
「…よし、これでいいかな」
傷の処置を終えて、救急箱に中身を戻してベッドボードに置いた。
「…頼華」
「ん?なに?」
ぐい、と手を引っ張られて抱き締められたのだと分かるには、少し時間を要した。
「…どうしたの?」
「…何でもねぇ」
そういう彼の背中に腕を回して。頬にキスをした。
同意
__同じ気持ち、だからね
(…ったく、知らねぇぞ)
(…煽ったのは私だもん、準備できてる)
(…そうかよ)
私の上で舌舐りをした一方通行の目は、私だけに見せるそれだった。
end
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うちの一方通行くんは頼華ちゃんの血をみると暴走するんですよー
かわいいねぇ。
てか名前変換少なくて申し訳。