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空と陸の距離

第13章 Beginning of Hell




「いきなり震えだして、倒れて、それっきりなんです」



さんの容態がおかしくなって
医者を呼んで、さんのお母さんが
到着してからもうかれこれ一時間。


私を見たさんのお母さんは
叫び声をあげて、娘のことと
目の前の私に対してで混乱していた。


それでもなんとか事情を説明。
私とさんとのことも話した。


屋上で知り合って、会ったこと
付き合うことになったこと
明後日にデートの約束をしたこと
さっき初めてキスをしたこと

全て話した。



「このことは、他の人には秘密でお願いします」
「ええ。もちろんそうするわ」


お母さんはさんの髪を撫でて
ポツリポツリと話始めた。
それを、窓側に腰かけながら聞いていた。



「道理で最近よく笑うのね。あんな輝いた笑顔、目を覚ましてから見たことなかったのよ。・・・和也くん」
「はい」


いきなり名前を呼ばれて顔を上げた。
さんのお母さんは
表情こそ素敵で優しかったが
髪は白が混ざり、疲れた様子だった。
苦労してきたんだと思った。


「この子は幸せを持っているのね」


「はい」


「この子ね。前付き合っていた彼氏と、事故が原因で別れたのよ」


「聞きました。さんから」


「そう。貴方は忙しい人よね。この子にはもう辛い思いさせたくないの」


「させません」






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