第12章 好き
「・・・さん?」
和さんの声が、とっても小さく聞こえる。
何度も何度も呼んでくれているのに
同時に小さくなっていく。
和さんが、見えない。
白くて
何も見えない。
「和さん・・・」
背中に汗をかいた。
でもそれは、冷や汗で
大丈夫。
ただの脳貧血だから。
そう思いたかったけど
途端に手足が震えだす。
寒くないんだよ。
和さん。
助けてよ。
何ともないんだよ。
見えないよ、和さん。
和さんどこ?
和さん。
声に出してるはずなのに
和さんの返事が聞こえない。
ねえ和さん助けて。
声が聞こえないよ。
和さん・・・・・・
「っ!?」