第11章 解放の時間
和さんから連絡がきたのは
約束をした一週間後だった。
あのあとずっと忙しくて
病院で検査を受けたのも深夜。
屋上に行けなかった・・・と。
「あら、彼氏さん?」
「え!?」
いつものように足を遊ばれる私
和さんのメールを読んでいた私に
看護師さんはにやついている。
「彼氏じゃないです」
「でも、メール見てにやけてたから。そうかなぁ~って」
「にやけてません」
「口が曲がってましたよ」
思わず口に力が入った。
『さんへ
二宮です。
最近忙しくて顔出せなくてごめんなさい。
明後日の水曜日は、仕事が夜中からなので
その日なら約束果たせそうです。
何時ごろ迎えに行けばいいですか?
二宮』
「『何時でも いいですよ』顔文字入れていいかな」
ついでにお仕事頑張って下さい
なんて付け加えてから
枕元のカレンダーの
明後日水曜日に、赤で丸をした。
「やっぱりデートですね?」
「だから、違うって」
「じゃあなんです?」
「遊びにいくんです」
「おや、何方と?」
「和さ・・・あ、いえ」
言いかけてハッとした。
そういえば和さん、アイドルだった。
「かず?」
「か、カステラの食べ歩き的な」
自分で言った言い訳に突っ込みたかった。
「あーなるほど」
なぜこの人が合点しているかというと