第5章 結婚記念日
今日は私とさんの
五回目の結婚記念日。
その一年後に悠は産まれて
その一年後にさんは
空へと飛んだ。
隣に並ぶ距離が
空と陸という約100㌔に
変わった三年前。
「長いようで、あっという間だよね」
「はい。悠を見ていると、思わされます」
さんがいなくなったころ
悠はたったの一歳だった。
「ニノ」
大野さんの声で、私は視線を戻す。
「ここまでよく、がんばったね」
その言葉で、一体何をためてたのか
たまっていた物が体から出た。
もしかしたら、また戻ってくるかもしれないけど
「今日は・・・泣いてもいいんじゃない?」
潤君の一言で、俺は相葉さんの肩に
顔をうずめた。
泣きたかったのかどうかは知らないけど
涙がどんどん溢れてきて
さんに会いたくて
仕方なくなる。