第3章 はじめまして
「そんな顔しないでよ。国民的アイドルの顔を台無しにしたら、私が怒られるんだかんね?」
「台無しって・・・そりゃないですよ」
「えぇー」
彼女に合わせて笑う俺。
なんで笑ってられるの?
普通なら、耐えられないんじゃないですか?
死にたいとか思いますよね?
「貴女、意外と強いんですね」
「え?」
「強いですわ・・・本当に(笑)」
骨折しただけで悔やんでる場合じゃないですわ。
「ファンたちから逃げてここにきて、正解だった」
「・・・それはよかった」
「もう、夕日が沈みますよ」
「うん」
二人で同じ夕日を目にした。
絶対忘れない、
そんな気がしたんです。
「ちなみにいくつ?」
「貴方は?」
「俺は29です。もうすぐ30」
「お!私の方が若い!」
「いくつ?」
「28!今度29」
ピースをする彼女。
「そんなの変わりませんー」
「変わりますよ~」
「四捨五入すれば二人とも30でしょ?」
「それはそうですね」