第15章 もう一回
「眠くなってきちゃった」
目を閉じながら話す私に
和さんは言った。
「おやすみ、さん」
ただ、それだけ。
腰に回る和さんの腕で
包まれている感じがした。
夕日が、落ちていく。
「和さん・・・」
「はい」
「絶対、忘れないからね」
「はい」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「おやすみ」
「おやすみ」
こんな幸せな外出。
生まれて初めてだよ・・・和さん。
本当にありがとう。
約束果たせて、よかったよ。
そうだ。和さん。
私が空に行くときは、
おやすみ、って言ってくね。
そしたら、和さんも言ってくれるよね。
『おやすみ、』
って・・・。