第28章 前世と現世の自分〖冨岡義勇〗⚠R18 現パロ
"やっと見つけた"
人の波をかき分け追いかける
過去と変わらない髪型、表情
確かに彼だ
〖冨岡義勇〗
待って、もう手を離さないで
勝手に死なないから
追いかけたが見失ってしまった
「せっかく…見つけたのに…」
彼に記憶があるかなんて分からない
でもひと目会ったら分かってくれるかもしれない
ほんの少しの期待だった
雨が凄いこの季節
仕事が終わり歩いて帰っていた
「はぁ…なんで上司の分の残業までしないといけないの」
シュンとしながら雨の音が傘を通して聞こえる
コンビニでも寄ろうかと近くを見ると
雨が止むのを待つ冨岡の姿があった
「(義勇…さん)」
何も考えずに、無意識に声をかけていた
「傘ないんですか?」
「…あぁ、コンビニも売り切れでな」
目を見開いて驚かれてしまったが
少し話していると、意気投合して
一緒に帰ることになった
「(義勇さん…記憶ないんだ…)」
突きつけられる現実
「さっきから何か考え事をしているように見えるが…でも初めて会った俺に話すのは嫌だろう」
"初めて"胸がズキンと痛む
だんだん涙が浮かんでくる
「ちょっと人探しをしていてその人のことを…
でも気にしないでください!!」
無理やり笑う
「…すまない、放って置けないと言ったらダメか?」
まさかのセリフに動揺してしまう
「なんだか初めて会った気がしないんだ」
「え…」
「君は覚えているのかもしれないが…記憶がなくてな」
期待してもいいのかな?
「…」
「俺の家がすぐそこなんだ、コーヒーでも1杯飲んでいかないか?」
「いいんですか?」