第1章 純白の衣
「ははっ。甘ったれた事を…」
男性はそう呟いた。
「義母に売られたと思っているのか?」
問いかけに私は頷く。
すると、また「フッ」と鼻で嗤って、私の肩を掴んだ。
「お前を売ったのは『両親』だ」
「り、両…親?パパもって、事?」
「その通り。だから逃げ出したとて帰る場所など無い。まぁ、逃がしはしないがな」
私を見据える彼の顔の口角が少し上がっている。
「それに、お前の行き先はもう決まっている。もうすぐ引き取りに来るだろう…だから安心して、ここで待てばいい」
肩に置かれている大きな手のひらに、グッと力が入る。
「せいぜい、可愛がって貰えよ。お嬢ちゃん」
その言葉が頭の中をいつまでも木霊していた。