• テキストサイズ

【刀剣乱舞 R18】クロユリを食む

第1章 純白の衣


自分に着せられた白いワンピースを花嫁衣装ととるか、死装束ととるか …。

どちらにせよ、二度と自宅へ戻る事は無いのだと悟った。


視界を奪われ、
両腕の自由も奪われ、

感じるのは、素足で座り込んでいる地べたが無機質で冷たいって事ぐらい。


此処にいる経緯を話せば、『いつの時代だ』等と鼻で嗤われてしまうだろう…。


でも、私は、確実に、

【売られた】のだ。

この服を着せた人に、
まんまと騙されたのだ。


幼い頃にママを亡くし、パパと二人で過ごしていた。


何年か前にパパが照れながら連れて来た人は、

とても綺麗で、
笑顔が素敵で
優しくて、
温かくて、

私は躊躇いなく、『お母さん』と呼んだ。
すぐに懐いた。

でも、私が『お母さん』と呼んだ人は、最初から私が邪魔だったんだろう…。

高校生活ももうすぐ終わるという年齢になった私は、以前にも増して邪魔になったんだろう…。


『貴女に似合うと思ったの。これを着て、素敵な所で食事をしましょ』


あの笑顔が嘘だなんて。
今までの態度が全部嘘だなんて…。

あまりの絶望に、涙すら出なかった。
/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp