第11章 子守唄
「そろそろいいかな?」
おついちと兄者が家に入ると
リビングから歌が聞こえた
まさかと思いドアを開けると
今まさに弟者がを寝かしつけようと
子守唄を歌っていた
こちらに気が付いた弟者が
シーっと指を口元にあてる
「今寝たばかりなんだ」
と小声で話す
「弟者くんって子守唄知ってたんだ……」
信じがたいような光景におついちが驚く
「ちょっと。俺をなんだと思ってたわけ?」
むっと少し不服そうな顔で弟者がおついちに言い返す
その横で
「面白いから動画撮ってやるよ」
と兄者がスマホを取り出した
画面にはすやすやと寝息をたてている彼女と
少し照れくさそうにしている弟者が映っている
「これは永久保存版ですねぇ」
おついちがニヤニヤしながら兄者のスマホを覗き込む
「お前ら……!後で覚えてろよ……!!!」