第9章 BAD FEERING
「おっつん。なんかわかった?」
部屋のノックもせずに
兄者がマグカップを片手におついちの部屋に入る
「…少し、情報が出てきたよ。ほんとなんで気が付かなかったんだろう」
普段綺麗なはずの部屋は
足の踏み場がないほど
大量の書類で埋め尽くされていた
「まぁ、緊急の仕事だったしな」
1年前に起こった虐殺事件
犠牲になったのは何の変哲もない普通の家庭
なんてこともなく実際は
大変お世話になったクライアントに所属している
諜報員だった
諜報員夫婦の活躍ぶりは2BRO.の耳にも届くほどで
仕事を共にすることはなかったが
いつも見事な仕事ぶりに3人は関心していた。
クライアントから緊急要請がかかり3人は
現場に向かったが家はすでに炎に包まれ
すぐに二人を助け出すことは難しかった
火がようやく鎮火したとき
建物には夫婦らしき遺体に
黒焦げになった家具
それと、何とか炎から免れた家族写真
が残されていた
当然、犯人の証拠なんてものは指紋一つ見つからず
事件は迷宮入り
ついこの間まで忘れていたのだが……