第11章 【孤独な子供】
朝日が昇るのと同時に、クリスは1通の手紙を書いた。それは主人の帰らぬ屋敷で独り待つチャンドラーに宛てた手紙だった。
いろいろ考えたが、文章はにはただ、自分は無事ホグワーツに着いたという事。いつかは屋敷に帰るから、それまで留守を頼むという事だけを書いた。余計なことを書いて、『死喰い人』達に悪用されては困る。
クリスは書いた手紙を運ばせようと、窓を開けると指笛を吹いた。すると遠く朝日の方角から黒く小さい影がこちらに向かってやって来た。あれは間違いない、ネサラだ。
グリモールド・プレイスにいた頃はネサラを呼ぶことも出来なかったので、もしかして来ないのではないかと不安に思っていたから、これはクリスにとって喜ばしい事だった。
「よしよし、お前は忠義ものだな」
腕に止まったネサラの羽を、そっと撫でてやる。ネサラは嬉しそうに身を寄せ、暫くしてからスッと足を差し出した。その足には、グレイン家の紋章が捺された足環が付けられている。
今まで当たり前に思っていたこの紋章も、借り物だったと知った今は、なんだか他家の家紋にも見える。
こみ上げるものをぐっと飲みこむと、クリスはネサラに手紙を持たせて空に放った。
それから朝食の時間まで、クリスは談話室で本を読んで時間をつぶした。途中、談話室に降りてきた生徒が、チラチラとクリスを横目で見ては、そそくさと出ていくのをしり目に、ハリー達が降りてくるのを黙って待っていた。
読書に没頭していると、毎度おなじみリー・ジョーダンと双子のフレッドとジョージが揃ってやって来て、掲示板に何やら大きな張り紙をして去っていった。
クリスはチラリと本を下げて張り紙を見ると、そこにはデカデカとこう書かれていた。
【ちょっとの時間でがっぽり稼ごう!!】
お小遣いが足りない!今月ピンチ!そんなあなたに朗報!!
ウィーズリー兄弟にご連絡下されば、今すぐ稼ぎたい放題!!さあ、そこの君も今すぐ!!
※給料はお仕事の案件によって異なります。
これはちょっと怪しいを通り越して危ない事この上ない。まあ、きっとハーマイオニー辺りがキツく取り仕切ってくれるだろう。クリスはあえて見て見ぬふりをした。